鳥籠

僕にとってあのコンサートが心地よかったのは今の彼女を取り巻く環境がそのまま舞台上にあるように見えたから。
檻一つ隔てた先にいる彼女。
それは虚像なのか実像なのか。
そんな「スター」の悲哀を感じる舞台装置が今の彼女にぴったりだと感じていた。

今思えば全てを暗示していたかのような演出だった。
鳥籠の中の鳥は本当にいなくなった。
飛び立ったのか、消えてしまったのかはわからない。

今の僕にはかける言葉すらない。